アクアリウムに最適のウィローモス、残留農薬には要注意

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ウィローモスはアクアリウムでよく利用される水生コケで、育成難易度も低く初心者にもおすすめの水草として有名です。その形状から、メダカの産卵床として最適で、メダカとよく混泳しているエビや貝類にとっての隠れ家や餌場にもなります。

このように手軽で便利なウィローモスですが、水槽内の生態系を守るためにも、残留農薬にだけはしっかり注意する必要があります。

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ウィローモスに使用される農薬について

一般の農産物と同様、ウィローモスを生育する過程でも農薬が使用されるケースが多いです。害虫の被害を防ぎ状態の良いウィローモスを効率良く生産するために、どうしても農薬は有力な選択肢となってしまいます。ただ、この生育の過程で使用された農薬が成長したウィローモスに残留農薬として残り、それが水槽内に溶けだし、中の生物に大きな影響を与えてしまうという問題が起こります。

そもそもウィローモスに対する害虫駆除の目的で使用された農薬ですが、水槽内で飼育している生物にとっても当然毒性のある成分となってしまいます。メダカや熱帯魚にとっては、残留農薬で死んでしまうケースは少ないものの、体が弱っていくきっかけになるということは十分ありえます。

さらに、水槽の掃除屋として熱帯魚と混泳させることの多いミナミヌマエビなどのシュリンプは、残留農薬の成分に対して非常に過敏で、ウィローモスを水槽に入れた途端に、瞬く間に全滅してしまうというケースも珍しくありません。

ウィローモスにまつわる悲劇

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元来、エビ類とウィローモスは、非常にお互いの相性が良く、ペットショップなどでもおススメの組み合わせとして勧められることが多いはずです。エビ類はウィローモスの新芽を餌として好んで食し、ウィローモスの細かくふさふさした形状はエビ達の適度な隠れ家となります。

隠れ家があることで、互いに不必要に攻撃し合うことのない良好な生活環境が生まれ、エビ達の繁殖も一層捗ります。エビ類にとって都合の良い環境は、そのまま水槽全体のクリーニングにつながり、メインで飼育しているメダカや熱帯魚にも快適なコンディションが整います。

こうしたメリットにも関わらず、あるアクアリウム初中級者が理想的な水中環境を実現するために、ウィローモスとミナミヌマエビなどを同時に買って、ワクワクしながら水槽内に両者を投入したところ、悲劇が起きてしまいます。

先述したように、エビ類は農薬の毒性について特に過敏で耐性がないという性質を持っています。そこに、同時投入したウィローモスに幾ばくかの残留農薬が存在しており、その成分が水中に溶け出したため、せっかく買ってきたエビ類が一瞬で台無しになってしまったというのです。

エビ類のように残留農薬に弱い生物の場合は、ウィローモスに残ったほんのわずかな量の農薬成分にも反応して命を落としてしまいます。よって、ウィローモスを購入する際は使用された農薬の有無や除去処理に関して情報をしっかり集めてから選択するようにしなければなりません。

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外国産ウィローモスの残留農薬

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店頭でもオンラインショップでも比較的容易に手に入るウィローモスですが、国産、外国産、農薬使用の有無など同じ商品でも入念に検討すべき要素は多いです。まず、外国産のウィローモスの場合は、ほぼ全てのケースで農薬が使用されていると言われています。

それは、長い移動距離に加えて、検疫もクリアする必要があることから、必然的に農薬という成分に頼って商品の状態を維持しなければならないからです。また、水草に使用する農薬の分量や種類は、食用農産物に関する農薬ほど、厳しい制限が設けられているわけではありません。

人の口に入る食物ではないため、どうしても規制が緩くなっているのが実情のようです。よって、もし水槽内にエビ類を同時に飼っているという場合は、仮に価格面が魅力的であったとしても、外国産ウィローモスは選択肢から外しておいた方が無難ではないかと考えられます。

エビ類がおらず、メダカや熱帯魚を飼育しているだけという場合は、後述するようにきちんと残留農薬除去の処理を行ってから水槽内に投入することもできるでしょう。

国内産ウィローモスの残留農薬

次に国内産についてですが、国内産という点だけで、残留農薬の不安がないウィローモスかどうかを判断することはできません。まず、最も安心してアクアリウムに使用できるのは、無農薬と確かに明示されているウィローモスです。

無農薬ウィローモスは文字通り、生育の過程で一切農薬を使用せずに育てられたウィローモスということなので、過敏なエビ類が泳いでいる水槽でも安心して投入することができます。そして、国内産ウィローモスの中では、残留農薬処理済みと謳ったウィローモスを見かけることもあります。

この意味するところは、大なり小なり農薬を使用して育ったウィローモスだけれども、業者側で残留農薬除去処理を済ませたものを顧客に販売しているということです。比較的安心できるウィローモスと捉えることができますが、残留農薬に関して完全に心配無用になったと判断してしまうのは早計です。

実は、こんなエピソードがあります。エビ類のいる水槽には、ウィローモスが相性が良いということで店員に勧められ、その説明に納得の上、エビと同時に入れて大丈夫か念のため尋ねたところ、「問題ありません」という答えが返ってきました。

ところが、その安心を裏切るかのように、実際に購入したウィローモスを水槽を入れたところエビたちは次々に死んでしまったそうです。おそらくこの場面では、店員に悪意があるのではなく、その商品が「残留農薬除去済み」として流通しているため、自信を持って顧客に勧めたものと考えられます。

ここで得られる教訓は、農薬除去済み扱いのウィローモスでも必ずしも完璧とは言えず、エビ類のように過敏な生物にとってはやはり一定のリスクであり続けるということでしょう。

ウィローモスの残留農薬除去方法

「無農薬」という明確な表記があるウィローモス以外は、どうしても残留農薬が抜け切れていないと想定し、農薬除去の処理を行ってから実際の水槽で使用することをおすすめします。ここでは、その手順を紹介していきます。

ます大きめの容器に水を張ってください。その中にウィローモスを漬けて、丸1日放置します。その間残留農薬があれば十分溶け出してくれるはずです。翌日になったら全て水を新しく入れ替えてまた放置、このプロセスを1週間ほど繰り返します。

そして、もしエビ類を飼っているのであれば、漬け置きしたウィローモスと同じ容器にエビを1匹投入し、生存できるかどうか様子を見ます。もし状態がおかしくなるようであれば、1週間を超えて更に上記のプロセスを繰り返した方がいいでしょう。

残留農薬さえクリアすればウィローモスはやはり魅力的

メダカや熱帯魚、シュリンプ類にとっても、ウィローモスは実に魅力的な水草です。しかも人間にとっても、手に入りやすく育てやすいという良いこと尽くしの存在なのです。唯一厄介なのは、残留農薬の扱いのみとなります。

無農薬のウィローモスを探すのか、自身で農薬除去をきちんと行うのか、本文を参考にしながら最適な選択をしてもらえたら幸いです。